RYZEN THREADRIPPER その1
というわけでHYPER M.2のテスト用にRYZEN THREADRIPPERで一台組み立てます。
使用パーツ
CPU AMD RYZEN THREADRIPPER 1950X
M/B Asrock Fatal1ty X399 Professional Gaming
RAM Crucial (Micron) PC4-2400/ECC Unbuffered 16GB*8
Samsung PC4-2133/ECC Unbuffered 4GB*8
GPU Sapphire RADEON HD6570
chiller ENERMAX LIQTECH TR4 ELC-LTTR360-TBP
PSU Seasonic SSR-650RMS
CASE Corsair 270R
(Photo from amd.com)
(Photo from asrock.com)
電源ユニットはSeasonicのSSR-650RMS。
THREADRIPPER向けマザーボードはEPSとATX12Vの両方、もしくはEPSを2系統必要とする製品が多く、今回のAsrok Fatal1ty X399 Professional Gamingも例に漏れずそのようなつくりになっています。
RYZENを二つくっつけたようなものですしね、THREADRIPPER。当然CPUの消費電力も2倍になるわけです。
極端に電源要求のきついビデオカードを組み合わせない限りはこのあたりの製品でもどうにかなります。
とはいえ、性能的にもこのあたりの電源が最低ラインになるでしょう。
この構成にハイエンド寄りのビデオカードを載せるとしたら確実に不足です。850W級を用意するべきです。
とりあえず映れば良いんだよ映れば。
テストが全部終わったらRADEON PRO WX5100あたりに入れ替え予定。
組み立て
さくさくいきますよ。
いやホントにTHREADRIPPERは大きいな。物理的に。名刺ですって言われても信じ…まあそれはないですが。
CPUソケットの天地がロングDIMMの長さとほとんど変わらないってどんなことだ。Pentium Proか。
メモリはTX1330M2から追いはぎしてきたDDR3-2133のECCつき4GBを4枚。まあとりあえずですね。
毎度お馴染みワイドワーク取り扱いの熱伝導シート、Ice Carbon Pro。これなら絶対スッポンしませんのよ?
THREADRIPPERはスライド式の固定方法になってるから多分グリスでも大丈夫だとは思いますけど、AM4系のRYZENやそれ以前のAMDCPU使うときにはかなり強くお勧めしたい逸品です。
写真のラベル、色味が違って見えますが光の加減か何かです。
今回はこれを2枚使います。計5000円ちょい。…相当な高級グリス買えますよね。
IHSのサイズとピッタリ、とはいきませんが、2枚使えばダイの大きさは十分カバー可能。
ヒートシンクを載せてテンションがかかると多少は伸びますから心配ご無用。
クーラーはTR4対応のENERMAX製LIQTECH TR4シリーズの360mmモデル、FN1126 ELC-LTTR360-TBP。
受熱部がTHREADRIPPERの大きさにピッタリの水冷CPUクーラーです。
取り付けられる手持ちの空き筐体がなくて渋々Corsair Carbide 270Rに。
あと結局買い足したREEVEN KIRAN。
長尺カードも載せず、CPUの冷却もラジエータ頼みとなると見事にすっかすか。
この画像の状態では
・下から3段目(X16_2)にHYPER M.2 X16 CARD
・5段目(X8_1)にRADEON HD6570
・M.2ソケットは1番にPX-1TM8PeGN、2番と3番にPX-256M8PeG。
・HYPER M.2の中はPX-256M8PeGNが4本。
Asrock Fatal1ty X399 Professional Gaming固有の注意点
PCIe x1とM2_1の排他利用
ふたつ上の画像を再度ご覧いただくとわかりやすいかと思いますが、M2_1のスロットはPCIe x1のスロットと並行に配置され、PCIe x1スロットはエッジフリーになっています。
ただし、PCIe x2以上の大きさのPCIeカードを取り付けたい場合にはソケットの高さの都合で干渉するため、M2_1ソケットとPCIe x1スロットは物理的に排他になります。
M2_1はU.2ソケットと信号を共有しているため、全てのスロットを最大限活用しようとするとそちらを利用することになるでしょう。
Asrock Fatal1ty X399 Professional GamingはバックパネルにUSB2.0のポートが出ていません。
※当方取り扱いのブラックケーブルのUSB2.0引き出しケーブル。
ブラケットは付属しませんので、そのへんに転がっているものをお使いください。この画像ではhp Proliant ML110G5あたりで使われていた黒のトルクスネジで留めてみました。
こちらの画像はAsrock Fatal1ty X99 Professional Gamingのものですが、こちらでは変換名人のMB-USB2を二つ取り付けています。Corsair 460Xなどではサイドのガラスパネル越しにUnifyingレシーバが利用可能です。
こうした点を考えると、このマザーボードを組み合わせる筐体は拡張スロットが8段以上あるものか、サイドパネルがガラスないしアクリルのものを選ぶのがよさそうです。
あとでなにか適当な筐体を見繕ってこよう。
電源に関する注意点
前述のとおり、RYZEN THREADRIPPERはCPUに大電力を供給する必要から、Fatal1ty X399 Professional GamingもATX12VとEPSを両方とも備えます。
電源ユニット購入時はそうした用途に合わせて12V出力が十分に強力な製品を用意する必要があります。
大雑把に言ってSeasonicやSilverStone製品では750Wクラスから上はほぼ8ピンEPSを2系統利用可能です。
ATX12V端子とEPS端子は互換性があり、電源ユニット側にEPSが2系統あれば4ピンのATX12Vを要求するマザーボードにもほぼ対応可能です。
ペリフェラル電源から変換することも出来なくはないですが、流通している変換プラグには粗悪なものも多く、正直なところオススメはしません。
メモリとRYZEN系列CPUの動作の関係・消費電力
前提としてわたしは「空いてるスロットは埋めておかないと酷い目にあわされる教」の者なので、普通の方は必要な容量を最適な枚数で搭載しておけばいいと思います。ここでの話は最大容量を最大枚数載せるようなアレな人向けの話です。
メモリを8枚搭載したい場合は4Gbチップのものを使いまわさず、8Gbチップ採用品に買い替えるべきです。消費電力が大幅に軽減されています。
1Rank・2Rank(疑似的に2枚のDIMMを1枚の基板に載せたようなもの)では1Rank品のほうが速度は出ますが、こちらは主に容量と速度のどちらを重視するかによって変わります。
DDR4-3000、同3600といった高クロックメモリを使う場合は更に消費電力は増しますが、RYZEN系列のCPUはメモリ性能があがればあがるほどCPUの動作速度も向上するため、そこらへんは容量や財布と折り合いのつく範囲で。
「店主、DDR4ECCの一番良いヤツをくれ」というとそれっぽいのを出してくれるはずですが、ゲーミングPCに強いPCショップでないとなかなか高クロック動作で信頼性の高いメモリモジュールは置いてないかもしれません。
品揃えが豊富なのは秋葉原のアーク、OCWorks、大阪のPCワンズといったあたりでしょうか。
ただ、どことは言いませんがゲーミングPC専門店は店員の質(主に接客態度)の差がかなりあるのが現状です。店頭購入時にはある種の覚悟を決めて入店したほうが良いかもしれません。
まあそもそもECCつきモジュールなんて店頭在庫を持っているのはある程度の規模のPC専門店に限られます。
RYZEN THREADRIPPERは別にECCつきメモリしか使えないわけではなく、Non-ECCのものにも対応しています。わたしはECCつきを使うけど、別にNon-ECCモジュールでも良いと思うよ。8スロット埋めるつもりならECCつきにしたほうが良いような気もしますが、16GBを4枚、64GBくらいならNon-ECCモジュールでもまず問題が出ることはありません(モジュール自体の信頼性が低いとかは別です)。消費電力的にはチップが少なくなる分多少なりとも省電力になります。
電源容量の選定
上記に加えて利用予定のビデオカード、ストレージなどが要求する電力に対応できる容量を持った製品を選んでください。
RTZEN THREADRIPPER機を組む場合、
・DDR4 16GB1本25W ※PC4-19200(DDR4-2400)・フルロード時
…といったあたりを想定しておけばだいたい妥当な数字が導けるかと。
ちなみに今回テストに使用するPlextor M8Peは3.3V / 2.0A (Max.)となっているため、7本搭載時に最大で46.2Wほど要求してくる可能性があります(おそらく1TBモデルでの数値ですが)。
今回のテスト環境ではざっくりと500W前後は見ておかないといけません。
このあたりの要求量になってくると電源ユニット自体の効率の影響も消費量に比例して大きくなります。
稼働時間が長くなることが予想されるならPC向け電源ユニットの省エネ基準80PlusのGold以上を受けている製品を用意し、例えば80PlusPlatinum認証の製品を貼り込んでもいずれかの構成パーツの寿命が来る前に電気代で初期コストは回収出来るでしょう。
逆に、週末にしか使わない、といった使い方の場合はブレーカーが落ちないようにだけ気を付けて省電力性能はほどほど、代わりに安価で大容量、という設計の製品を選んでも良いと思います。
全体の出力に対して少なくともフルロード時の消費電力は20~30%程度の余裕は見込んで容量を決定するべきです。
大出力が可能な電源ユニットを「そこそこ」の出力で使う場合、発熱が抑えられることで搭載キャパシタやICの寿命が延びる、搭載されたファンの回転数が低く済み動作音が静かになるなど使用する上で多少の価格差を踏み越えるだけのメリットはあります。
HYPER M.2 x16 CARD使用時の準備
今回はUEFIはP1.80でテストしていきます。
・CSMをオフ
・PCIe x16スロットの動作モードを x16*1からx4*4へ変更
これをしないと単にx16スロットにx4のカードを1枚挿しただけの状態に見えてしまうので、HYPER M.2に挿したSSDも1枚しか見えません。
おお、見えた見えた。起動ドライブは東芝のSATA2/128GBですがまあどうでもいいですね。
ちなみにSapphire製ビデオカードを載せると起動時のスプラッシュスクリーンが専用のものに。
で、起動してみます。HYPER M.2はさておき、このとき、RYZEN MASTERからはこんな風に見えます。
16コア32スレッドのCPUなのに30℃台ですってよ奥様。
このスクリーンショットの時点では室温25℃前後、1950Xは16コア中4コアが4GHz動作中。
負荷テストなどはよそのサイトがもう散々やってらっしゃるので後回しにしますが、すごいな360mmラジエータ。
RTZEN THREADRIPPER買おうかなと思ってる方は載せられる筐体がなかったらケース買い替えてでもこれ使うべきレベル。
あとやっぱりすごいのはIce Carbon Pro。正直グリス使う気なくなりますもの。
で、このあとほかのスロットにHYPER M.2を挿していくわけですが…。
まあ続きは次回。