WiFi6(802.11ax)対応ルーターの販売がスタート

新製品■無線ルーター
ASUS RT-AX88U

ASUSWi-Fi 6(IEEE802.11ax)対応の高速無線ルーターRX-AX88Uを発売、21日から日本での販売が開始されています。

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RT-AX88U(画像はASUS公式から引用)


Wi-Fi6、帯域幅160MHzと1024-QAM、4x4のダイバーシティアンテナにより最大4,804Mbpsでの通信が可能としており、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Accessにより複数同時接続時の転送速度と遅延を大きく改善しています。

現行のWi-Fi 5での接続でも4x4 Nitro-QAM時に最大4,333Mbpsを実現します。

当店でも検証用に買うか検討しているのですが、これによりApple iPhone XsシリーズやASUS ROG phoneなどの4x4対応機での速度の改善と動作の安定が期待できます。
ついでにVHT160対応なのでintel®Wireless-AC9260/9560でも1,733Mbps出せるかもしれません。

■メリット
Wi-Fi 5(IEEE802.11ac/11ac wave2)では使用可能な帯域が5GHzのみでしたのであまり接続距離が伸ばせませんでしたが、Wi-Fi6では2.4GHz帯も高速化され、RT-AX88Uでは1,148Mbps動作が可能となっています。
これにより3階建てなどでも十分な速度が得られそうな製品です。
ついでに5台までのメッシュにも対応しているため、カバー範囲はかなり密に出来るはず。

また、OFDMAに対応し、周波数帯を端末ごとに細分化することで同時接続数を大きく改善しています(本機の公称同時接続数は21台)。

■ほかの製品への優位性
Broadcom BCM4908(4コア/1.8GHz)と1GBメモリによる高速動作。
4x4アンテナ装備の高速機としては比較的コンパクトな筐体サイズ。

USBポートを2系統(前面1・背面1)持ってますので、プリンタサーバーや簡易ファイルサーバーとしても動作するはずです。USB3.1Gen1ですので、NVMeストレージで高速NAS代わりに、なんてのには少々力不足ながら、大容量USBハードディスクを接続して動画サーバーに、といった使い方なら十分威力を発揮するでしょう。
(※どちらが正しいのか不明ですが、公式ではUSB3.1Gen1*2、ヨドバシカメラの仕様紹介ではUSB3.0*1/USB2.0*1)となっています。ご購入時にはご確認の上お買い求めになられることをお勧めします)


■製品に足りないもの
ただですね、致命的な欠点があるんですよね、この機種。
上りが1Gbps(≒1,000Mbps)なんですよコレ。ここまでやっておいて1Gbps

どうしろっつーのか。
もちろんね、普通に使う分には1Gbpsで十分という人も多いとは思います。
Wi-Fi 6の利点は同時接続数が増えた際に速度低下が減らせることだ、という言い分もわかります。
そういう製品が出てきても良いとは思います。

ですが、RT-AX88UはWi-Fi6の一番乗り製品なわけで、どうせこの価格(アメリカで$349、日本では5万円前後)を出す人はあと1万円高くても高性能なほうを選ぶと思うのですよ。
10Gbpsがコスト的に厳しいならCiscoみたいに2.5Gbpsとか5Gbpsでもいいからもうすこし速度が出せるようにして欲しかったです。
それが無理ならそれこそNAS製品の一部であるようなPCIexpressスロットで拡張出来るようにしておくとかでも良かったんじゃないかなあ。

あ、LAN側が8ポートあるのは良いですね。最近はイーサネット接続の機器も増えてますし。
1Gbpsですけどね。



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RT-AX88U(背面側・画像はASUS公式から引用)



更にいえば本稿執筆時点だと公式ページのリンクがズタズタで、取扱説明書とか参照出来ないんですよ。
仕様ページを見ていてもいきなり公式のトップページに飛ばされてみたりとかしています。

このため、詳細機能については不確定なところが多いのですが、メディアサーバー、とは書いてあるんですがPLEXサーバーなどの高性能なものではなさそう。
このため、単純なファイルサーバー、プリントサーバーとしては使えても高機能なメディアサーバー機能をもつNASには使い勝手の点で見劣りするでしょう。
…この1点だけでも、上りは10Gbps、せめて2.5Gbps欲しかったんですよね。
(一応リンクアグリゲーション対応とはなっていますので、各種サーバーを別に置く場合は2Gbps接続は可能なようです。)


まあ、ネットギアのR7800なんかも上り1Gbpsなんで、結局のところまともに同時接続数の多い環境で問題なく使えるのというとCiscoのくらいしかないんですよね、今。
TP-LINKあたりニッコニコで出してきそうなもんなんですけどね。


それと最大の問題点。

Wi-Fi6子機、まだ発売されていません。
まあ、これはおっつけ発売されるとは思いますから、紳士淑女の皆様におかれましては親機を先に用意しておき、設定まですべて完了して正座で待機するのが正しい姿勢というやつでしょうか。

ひとまず高速Wi-Fi5親機としては使えますしね。
VHT160と4x4を両方備えている親機はあまりないので、Wi-Fi6のことは棚にあげておいてWi-Fi5親機として使ったとしても、まあまあ使い勝手(主に速度)は良くなるかと思います。


■競合製品
直接殴り合いになるのはおそらくNETGEARの Nighthawk AX8 あたりでしょうか。

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NETGEAR Nighthawk AX8。画像はamazon.comより。

こちらはアメリカで北米時間の12月21日発売。
ほとんどの仕様はRT-AX88Uと同等ですが、LAN側ポートが6系統、うち2系統がリンクアグリゲーションに対応しており、ファイルサーバーなどとの接続を考慮したものとみられます。
それにしてもなかなか個性的な形状というかなんというか…なんかこういう海洋生物いますよね。

Nighthawk AX8はamazon.comにて$399.99で予約受付中。日本への直送にも対応しています。

で、このほかにNETGEARにはAX12という機種が控えています。
上りが5/2.5Gbpsのマルチギガビット、2.2GHz動作の4コア64bitCPUを備え、アンテナも8x8MU-MIMO、なんなら4系統の独立した2x2として扱うことも可能と、ちょっといくらで出てくるのかがおっかないスペックなのですが、やはり本命はこちらでしょうね。
おまけにAmazon AlexaGoogle Assistantでの操作も可能だとか。


このところ、ASUSは無線ルーター、特にオンラインゲーム向けの低遅延動作を売りにした製品に注力しているようでAX88Uもそうした製品のひとつだと思いますが、まだあと一歩NETGEARに及ばない印象です。
とはいえ、市場一番乗りの名声はこのRT-AX88Uのもの。
そうした点でもプレイヤーが変わってきている印象がありますね。


ASUS RT-AX88U、ヨドバシカメラビックカメラには既に入荷していて販売中です。
店主も購入検討中ですが、上記の上り性能の点が引っかかっていて、買いに出るかちょっと悩んでます。
NUROやKDDI光などのようにWAN側回線が1Gbpsを超えるものもだいぶ増えていますしね。

ちなみに、ひとつ前の製品でRT-AC88Uというモデルがあるのですが、こちらはWi-Fi 5までの対応となります。
まったく同じ筐体に見えるのですが、お値段はざっくりAX88Uの半額ほど。
思いのほか安いじゃん!とよく確認せずに買っちゃうような、店主みたいなうっかり野郎な方はご購入時にはお買い間違えのなきようご注意を。
見分けるポイントはロッドアンテナ基部の差し色で、AC88Uは赤、AX88Uは金?になっています。

■2018/12/22追記
InternetWatchにて清水理史氏がRT-AX88Uを2台使っての対向接続についてテストとレビューを書かれています。