黄変LEE

前回に引き続きPanasonic製FS-A1ST。
プラスティックは添加剤の割合などによって紫外線により変色しやすいものと、割とがんばって耐えるものがあるんですがこの機種のキートップは豪快に変色するほうのプラスティック。
 
ただ、その配合次第でタンポ印刷が楽だったり、耐久性やねじれ強度などなどに違いが出たりするらしいので、一概に全部変色しないやつ使えよ!ともいかないんだそうです。
 
本来の色はだいたいこんな感じ。画像はひとつあとの機種FS-A1GTなんですが、購入後動作確認だけしたあと箱に戻して保管していたもの。
 
A1STのキーボードも本来これとだいたい同じくらいの色です。
 
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せっせとキートップを引っこ抜いて、プランジャーを分離してスプリングを取り外して…めんどくさいです。
こんなのもきちんと引き抜き工具が売ってたりしまして、使うと使わないとでは効率大違い。
 
取り外し中の画像が見当たらないのでこちらは諸々の処理が終わって薬液洗浄後。
 
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奥に移っているのはVictorのHC-95(A)のもの。高価な機種だったこともあって二色成型。
キートップの文字がかすれたりしないし、厚みが出る分打鍵の際のショックが和らぐなど多々メリットがあるのですが、とにかくコストがかかるため、現代のPC用キーボードではほぼ使われなくなりました。
ちなみにHC-95、キーボードは富士通製。
 
真ん中のベージュともオレンジともつかない色のものはA1STのプランジャーです。これのおかげで打鍵時にスライダーが斜めにならずに済む…のですが、ぶっちゃけそもそもプラスティックの材質があまり良くないため、無加工の状態では打鍵感はけして褒められたものではありません。
 
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こちらが処理中のキートップ。一枚目と見比べると…なんとまあなんとまあ。
「お、おう…」って言いたくなりません?
わたしは最初に見たとき思わず溜息が漏れました。
 
まさに黄ばみ。
 
スペースバー、裏表になってますね。本来機能キーの色はこのくらいが初期色。
 
で、これ、綺麗に並んで見えますが楽品に浸したあとでちまちまひとつずつ表にひっくり返していきます。
上の画像を見てもらうとわかるようにキートップはバスタブ構造になっていて、並べてから薬液をかけてもバスタブ内の空気の浮力で浮いてひっくり返ってしまうのです。
 
このため、キートップが完全に沈む深さまで薬液を入れ、その中でひとつひとつ表に揃えていくしかありません。
…薬液をキサンタンガムで練って重くする手もあるんですが、その方法では色が戻るまで時間がすこし余計にかかってしまいます。
 
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キートップの処理の間、A1STには別のキーユニットを取り付けてみました。
これ、FS-A1WXのものなんですが、最初からこのカラーのままにしてくれてても良かったと思うのです。
変色しないし。変色しないし。大事なことなのでもう一回くらい言っておきます。変色しないし。
 
ついでにWXのもののほうがSTのものより打鍵感が幾分マイルド。
構造はほぼ同じなんですが、WXの時点では射出成型を繰り返して金型が眠くなる前で摺れのブレが少ないのか、スプリングの巻き数が違うのか、といったあたりでしょうか。
 
よく見ると外装の左手前あたりにも変色が見えますね。
てことでもう一度分解してこちらも再処理行き。
一度脱色して染め直したほうが良いような気がする…。
 
ついでにもう2枚。現在出品中のML-G30とHB-F900のキーボードユニット、外付けFDDのFS-FD1A。
HB-F900は一部二色成型ですね。こちらもきちんとしたプランジャーが仕込まれていて打ち心地は上々。
 
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ホワイトニングには紫外線を使うため、太陽光で数日、ブラックライトで1週間程度かかります。
その間は別のことをして気長に待ちます。