8bit機に搭載されているパーツで一番壊れている割合が多いのがフロッピーディスクドライブ。
ヘッドの不良だったり、モーターが固着していたり、というのは最近のドライブでも起こることですが、当時のものに多く見られるのがドライブベルトの劣化・断裂とコンデンサの寿命。
特にMSX2後期の廉価な製品のものはまず十中八九ドライブベルトが切れてます。
ついでにコンデンサも容量抜けてます。
ぶっちゃけ、単純に経年でもこのあたりは壊れます。一つ前の記事で写真を載せたA1GTなんて動作チェックしかしてないのにベルト融けてました。
お店で買ってきて載せかえれば良いじゃない?と思っても、8bit機で使われていたドライブは信号や端子の配列からしてAT互換機のものと微妙に仕様が異なるため、そのままでは使えたり使えなかったりするのです。
ダイレクトドライブ駆動で当時としては割と動作音が静かな製品でした。
まず筐体からおろして、底面側、ドライブモーター横のコンデンサの状態をチェック。
この機種はかなりの割合の個体が目視で確認できるくらいわかりやすくコンデンサが液漏れしていますが、わかりづらい場合はテスターで残容量を調べます。もしくは「疑わしきは交換」。
今回は5台まとめてチェックし、うち4台はコンデンサ交換とヘッドの念入りなクリーニングで回復。
残り1台はヘッド不良をこじらせているようなのでストックボックスへお帰りいただきました。
3台は見てすぐわかるレベルの液漏れをしていたため、作業時間のほとんどは電解液の除去と腐食の処理。
基板を侵食しないタイプのクリーナーを1本持っておくと便利です。
もう一台はぱっと見ではわからなかったためテスターの出番となりました。
保護フィルムはがすの忘れてた。買いかえたばかりってことでひとつ。
ちなみにこのテスターは三和のPC710。安価なのにPC接続出来るわクランププローブ使えるわ(どっちも別売りですが)、少し下のモデルの4倍くらいの容量まで静電容量測れるわで、なかなか良いものです。大きいけど。
ついでにハンダゴテは白光のFX600、手前はサンハヤトのはんだシュッ太郎。
コテの奥のは模型用の筆置きなんですが、精密ドライバなんかを立てかけるのにちょうど良くて便利。
はい、腕を道具でカバーする派です。
段ボールを敷いてるのは絶縁マット代わり。
Amazonで買い物するとちょうど良いサイズに切り出されたのが何枚もたまるんですよね、コレ。
いやもちろん絶縁マット買っても良いんですよ、ちゃんとやる方は。
さて、今回はモーター横のものだけで回復しましたが、これでダメなら残りのコンデンサも容量チェック。
ほとんどの場合は露出している分の交換のみで治ります。
途中飛ばして交換後。あまり接写しても芋ハンダがばれるだけなので…。
この写真で手前側の少し大きめのコンデンサが交換したものです。
この年代の電子機器の修理であれば低ESRやらなんやらは気にする必要はありません。
とりあえず国内メーカー品選んでおきましょう、という程度です。
当初は写真奥の3つと同じものが使われていましたが、耐圧と容量がそれまでのものを上回ってさえいれば外形サイズの許す範囲で容量の大きなものを使っても問題ありません。
今回は10v22μFのものを25V100μFのものに交換。いやここまで容量増やさなくても良いんだけど。
実は上の写真でも既に交換済みなのは内緒です。作業中に写真撮ってなかったんです。ヤラセです。
ただ、どちらにしてもどのコンデンサも20年経過してるんですよね。
FD-235Fの場合は基板裏にも3つほどコンデンサが隠れていますが、そっちがダメとなると基板を取り外すのはなかなか面倒です。
メンドクセ、と思ったらさっさと交換してしまうほうが良いかもしれません。
新品を手配するのはまず無理にしても、ヤフオクやeBAYならまだどうにかこうにか使用可能なドライブが手に入ります。
私もちょこちょこ売ったり買ったりさせてもらってます。
とはいうものの。
直したものも順次出品してゆきますが、この年代のものはまだそれほど部品の密度も高くないので安価な道具でも十分修理できます。ちょっとした電子工作の経験があれば手間もたいしたことはありません。
気分転換、暇つぶし、週末のホビーにご自分で治してみられるのも一興かと。