下側2台はHB-F900。 メインメモリがメモリマッパ対応の256KB・2DD*2基。別売りのHBI-F900と組み合わせることでスーパーインポーズやクロマキーといったビデオ編集機能を追加でき、物理スイッチが大量のなかなかゴツイ見た目になります。 標準でワードプロセッサ[WORDSHIP]とマウスが添付されます。
2本目のカートリッジスロットは背面に。 このHB-F900という機種の兄弟機G900がミールに搭載されて宇宙にも行きました。
当時ココム規制の関係で16bit機…というか高性能コンピュータ全般を輸入できなかった東側諸国ではかなりの数のMSXが出回ったと聞きます。
一番上はHB-F500。F900より発売が早く、こちらはメインメモリ64KB・2DD*1、フロントにカートリッジスロットがふたつのオーソドックスなMSX2でした。 国内ではF500と似た筐体に1200ボーのモデムを内蔵して株式取引ソフトを添付したHB-T600という機種もあります。フルセットのキーボードではなく株取引に必要な最小限のキーに絞ったキーパッドが用意されました。 ちなみにT600は内部にMSX標準互換の50ピン隠しスロットがあり、モデムはそこにHBI-1200相当のものが仕込まれています。 これを外して別のカートリッジに挿げ替えることも可能ではありました。
内部スロットは残念ながらF系にはありません。
(他社のものでも内部拡張スロットを持つものはいくつかありますが、PanasonicやJVCは独自ソケット。標準の50ピンがそのまま入っているのは三菱ML-G30くらいです)
海外ではこのほかにHB-F700などが発売されましたが、そちらは主な違いはメモリ搭載量とキーボードの配列程度のようです。 このシリーズの英語配列キーボード、欲しいんですけどね。 Fシリーズのキーボードはいずれの機種もテンキーを備えた打鍵感の良い上質なもの。 もキートップとプランジャーが別部品となっており、一部キーは多色成型でした。
なぜかファンクションキーなどの機能キーばかり2色でメインキーはタンポ印刷なんですけどね。 それでもキートップは十分に厚みがあり、スイッチの質も良かったため打ち心地は上々。 それにしてもこのF500、程よく飴色に…ってヤケ過ぎじゃありませんかね。
というわけでさくっとF500のフロントマスクを取り外します。 やはりヤケが強く、裏返すと元の成型色が筐体の塗装色と近かったことが一目瞭然。 汚れてこの色なわけではなく、もちろんこれはこれで味だとは思うんですけどね。 今回は思うところもあってホワイトニング処理。
スロットカバーのフリップを取り外して洗浄後、処理槽へ。
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それにしても、これも古い製品ですが、金属部の腐食はほとんどなく、端子も綺麗なもの。
コンポジットビデオやオーディオ出力なんて光ってますよ、これ。
ま、もちろんMSX2以前のものでも可哀相な状態のものも結構ありますし、メーカーの考え方や使われていた環境にもよるんですけどね。
ついでにブラックモデルは外装ネジも黒、アイボリーモデルはメタリックのものが使われています。
やっぱり高級機は細かいところ凝ってるよね。
けだるい昼下がりのHB-F900・HBI-F900・専用キーボード。キーボードは後で単体の写真も撮ろう。
これにEasy Telopperをさせばちょっとしたビデオ編集環境に仕立てられて、「おお、それっぽい!」とか遊んでました。
MSXには割とこういうオーディオビジュアル関係の製品が多くて、PanasonicのFS-5500やビクターのHCシリーズなんかも当時としては結構高度な編集ツールになってビデオ製作屋さんにそこそこ売れたとか。
HC-95と写夢猫の組み合わせとHB-F900&EasyTelopper、どっちがシェア高かったのかな。
さて、Fシリーズに搭載されているFDDはミツミのD357。
このドライブは防塵シャッターがないので、埃っぽい環境で使われていたものだとドライブ内部が大変なことになっていることも。
この時期のソニー機はたいていこのドライブを採用していますが、イジェクタがおかしくなることも多く、下手をするとドライブからメディアを取り出している途中で内部部品が降りてディスクに止めをさしてみたりする憎いヤツです。ホントの意味で。
読み書きもあまり速くないので、こいつに関してはまじめに使うなら積み替えてしまうのが一番。
ただ、現在のハーフハイトではなく若干厚みがあるドライブのため、交換したら隙間をなんとかしないといけません。
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そうそう、宇宙へ行ったG900はミールが役目を終えた際に運命を共にして、ソユーズと一緒に大気圏突入。
燃え尽きてしまったとのこと。