ASRock Desk Mini 310 その2 Deskmini110からの変更点

ASRock Desk Mini 310 その2

前モデル・Deskmini110との比較(7月10日編集中)

主な違いは対応CPUとそれに伴う細かな仕様変更程度なのですが、製品としては案外あちこち改良が施されています。

とはいえ、一般ユーザーに影響がありそうな変更点は

1・対応CPUが変わった(第6・第7世代intel Core iシリーズ対応から第8世代向けに)
2・チップセットが変更された(intel H110からintel H310へ)
3・intel CNVi準拠のM.2無線LANBluetoothカードへの対応
4・筐体内部にMicroSDソケットが1系統追加
5・M.2ソケットがNVMeだけでなくSATA接続タイプの取り付けも可能に

といったあたり。これにより、

6コア12スレッドのCPUが利用可能に
・メインメモリの動作速度がDDR-2666まで対応に(Deskmini110ではDDR4-2133まで)。
チップセット機能として無線LAN機能を実装したため、無線LAN環境を安価に構築可能に

と、全体的な性能の底上げが行われました。
細かなところではCPUクーラー用の端子が従来は汎用1系統・専用形状1系統だったものが汎用4ピン2系統に変更されています。

対応CPUのTDP上限は変わらず65Wのため、最上位であるCore i7-8086Kや8700Kは動作保証外となりますが、65WのCore i7-8700までは取り付け可能です。

一方、変更されていない点は

・筐体の構成・外形寸法
・付属する電源(ACアダプタ)の仕様
SATAストレージの取り付け方法と設置可能台数
・低い拡張性
など。筐体はDeskmini110のものと全く同一です。

以下、主な要素について順にみていきます。

Processor CPU

第8世代Core iシリーズに対応したことで6コア12スレッドの高性能構成が可能になりました。
対応CPUのTDP上限は変わらず65Wのため、最上位であるCore i7-8086Kや8700Kは動作保証外となりますが、65WのCore i7-8700までは取り付け可能です。
CPUクーラー用の端子が2系統とも汎用4ピンになったため、大型クーラーのデュアルファン構成も可能となり、筐体自作組にとっては自由度が一段と高まったといえます。

Storage ストレージ

M.2ソケットがNVMeだけでなくSATAタイプにも対応したのが主なトピックです。
というかDeskmini110の時はまさかの非対応でしたからね。

安価にケーブルレス構成が取れるようになったため、もちろん歓迎できる点ではあります。
個人的にはどうせM.2を使うならNVMeが良いよね派ですが、あまり仕様を検討せずに買ってきて開封してしまってから「使えないじゃん!」となる悲劇がなくなるのは良いことですね。

・M.2のほかは前モデルに引き続き2.5インチストレージを2台搭載可能。
SATAケーブルは前モデルと変わらずロック機構のない表面実装端子のため、頻繁な挿抜は想定されていないと思われます。
・標準の筐体を利用する範囲で内蔵可能なストレージ容量としては2018年7月時点ではM.2接続(NVMeまたはSATA)で2TB、2.5インチ7mm厚SATA接続を2台の最大6TB(2TB×3)となります。
・H110チップセットRAID機能を持ちませんのでストライプやミラーリングを利用するにはOSの機能を使うことになります。

ネガティブなポイント
注意点として、2.5インチベイはほぼ密閉状態となるため、まったくアクティブな冷却を考慮されていません。
高発熱な製品の使用は避けたほうが無難です。

Network ネットワーク

標準搭載のネットワーク機能はintel 219VによるGigabit Ethernetが1系統。
オプションでM.2(2230)による無線機能の追加が可能です。
・H310チップセットはCNVi機構を内蔵するため、物理層の追加のみで無線機能の追加が可能になっています。
2018年7月時点では802,11ac(wave2)対応の製品としてintel Wireless-AC9560NGWが用意されています。
(当店でも7月中旬以降取り扱いの準備中です)

ただ…2018年7月時点ではCNViの9560NGWも、通常型の9260NGWも卸価格ほとんど違わないんです。
本機で9560NGWを選ぶメリットはM.2SSDに焙られても熱負けしづらそうなことくらいでしょうか。
アンテナや内部配線は用意されておらず、オプションとなります。取付穴は3系統用意されていますので、18260NGWなどの3x3製品の取り付けも可能だと思われます。
当店取り扱いの5dBロッドアンテナキット、フォールディングアンテナキット等が利用可能です。
(Desk Miniにぴったりの長さに調整した内部ケーブルが付属します←ここポイントです)

Memory メモリ

メモリも地味に底上げされ、DDR4-2666(PC4-21300)・16GB*2までのSO-DIMMモジュールが2枚搭載可能です。

メモリ容量があればあるほどありがたいような用途、例えばDTMや2Dイラスト制作などでもストレスなく使用出来ると思います。
AMD RYZENほど顕著ではありませんが、intel製CPUの場合もdGPU使用時にはメモリの動作クロックは結構影響しますので、高速なモジュールを組み合わせることをお勧めします。
(RYZENの場合は高クロックメモリ使用時にCPU全体の性能向上の伸びしろがあるというのが適切です。Core iの場合は負荷をかけたときにもメモリ性能がボトルネックになりづらい、という表現が適切でしょうか)

なお、仕様に明示されているわけでもなく、ほとんどの方には気にならない点だと思いますがECCには非対応のようです。
i3-8100などのECC対応CPUとの組み合わせでもECC機能の設定は出現しません。

低い拡張性

ネガティブなポイント
筐体サイズからもわかるように、良くも悪くも機能拡張は最低限での使用が想定されている機種です。
汎用拡張に利用可能なのは

USB3.1Gen1 3系統
USB2.0 1系統(+内部にピンヘッダで2系統)

で最大6ポートまでとなります。
Thunderbolt3端子などは用意されず、ビデオカードの追加や10GbEなどへの対応は現実的ではありません。
USB3.1Gen1は転送レート5Gbpsのため、実質的には外部接続はUSB3.0止まりということになります。

このうち、USB3.1の2ポートはフロントパネル側に配置され、常時何かを接続しておくにはあまり向きません。
背面側のUSB3.1の1ポート・USB2.0の1ポートが実質的に何かを接続しっぱなしに出来るポート、ということになります。

このため、キーボード・マウスを接続するだけでも最低限USBハブを1台以上、もしくはLogicool(Logitech)のUnifying接続の製品ないしBluetooth接続(※1)の製品を選ぶことになります。

入力デバイスを取り付けたあと残るポート数はといえば下手なノートPC以下です。
これらの点から、ご購入時にはご自身がどういった周辺機器をお使いか、または買い足す予定かをよく考えるべきです。
もっともプリンタなどでもUSB接続ではなくネットワーク機能を持ったものが増えていますので、この際だからそうした製品に入れ替えていくよ!というなら十分実用になるかもしれません。

ちなみに今室内をざっと見まわした限りUSB接続の周辺機器は

・キーボード
・マウス
BluRayドライブ
・ラベルプリンタ
プログラマブルテンキー
・USB音源
指紋認証装置
Felicaリーダ
・MO
・イメージスキャナ
・ハードディスク
MIDI鍵盤

…なんだか思った以上に色々あるな…。
いくつかはネットワーク化出来ますし、別に全てを本機に一度に接続することはありませんが、PC1台で全部賄おうと思うとセルフパワーのUSBハブは必須になる、ということがお分かりいただけますでしょうか。

※1Bluetooth機能も標準搭載されていないため、M.2またはUSBでの機能追加が必要です。

■ちょっと追加加工を厭わない方の場合
内部USB2.0ピンヘッダから2ポート取り出すことが可能です。左側面にUSB増設用の穴が用意されているので、そこに引き回すことでUnifyingドングルなどのためのポートは確保できます。

■ちょっと逸脱している方の場合
付属のケースを使わず、筐体を自作する場合にはUltra M.2をPCIexpress x4として、M.2(2230)をPCIExpress x1として利用可能ですが、まあ、あまり一般的ではないので今回は(あくまで今回は)考慮しないことにします。


もっとも、これらの点が果たして必ずしも致命的かというとそんなことはないでしょう。
あれこれ接続したい人はそれが可能な製品を選ぶべきで、本製品はそうした使い方にあまり向いていない、というだけの話です。
その分価格は抑えられ、初登場時で税込み2万円弱で入手可能になっています。


続きます。