富士通 PRIMERGY TX1330M2 その5・ファイルサーバー機の構成検討

富士通 PRIMERGY TX1330M2 その5・ファイルサーバー機の構成検討

1台はおとなしくファイルサーバーに。
現在富士通PRIMERGY TX100S3上のFreeNASで稼働中のファイルサーバーの置き換えを図ります。
まずOSはFreeNASまたはNAS4Free、さもなきゃWindows10Proとし構成部品を検討します。

前提シナリオ
小規模な出版・マルチメディア系製作者、使用者は基本的に同時に5人程度。

取り扱うファイルのサイズは主に1ファイル2~4GBのムービーファイルと、数百メガ程度のRAW画像データ、単純なテキストデータやindesignillustratorPhotoShopのデータファイルといった今日では「小さな」と言ってよいサイズのファイルが入り混じっています。これらを使用頻度や更新頻度によって適当にディレクトリを振り分け、作業が終わったものはアーカイブへ移動させます。
RAID機能は使わずZFSで管理。アクセスはほぼCIFSのためZILは使わず、L2ARC用にNVMeSSDを1台併用します。
一部のディレクトリはrsyncなどを用いて別のファイルサーバーと同期。

KONTAKTやSampleTankなどの音源系データは別サーバー。これらは速度と容量が必要な一方で読み出し使用のみで書き換えがほぼ発生しないためSSDベースのファイルサーバーが向いています。

アプリケーションサーバーなどは別のサーバーが動作中。

これらの条件から、CPUは標準のPentium G4400のままで問題ないと判断。
仕事場が稼働していないときにはシャットダウンが可能なため、負荷などのログを確認しつつ、必要ならCPUの交換を行うものとします。
…ずっとこのままで平気そう、というのも業務拡大的にはどうなのかって話ですが。

基本構成
CPU 1* Pentium G4400
RAM  4* 4GB 計16GB
電源 2* 450W
SAS HBA 1* LSI SAS9220-8i (SAS2008)
NVMe SSD 1* intel SSD750/400GB
10GbE NIC 1* intel X540-T2

SAS HBAはAdaptecの新型が安価で良さそうなのですが、FreeBSD系ではいまいちサポートが良くないのでおとなしく実績豊富なLSI製品に。また、ZFSでの使用なのでHBAのRAID機能は不要。

TX1330M2の場合冷却用のシュラウドの形状の都合もあり、ケーブルの取り回しを考えると9221などの型番末尾1ないし7のものの方が良いので、新規に手配するのであれば9221-8iの新品ボックス品が1万ちょい。安いです。接続するのがHDDのみなら、ですが。中古でも構わなければ富士通D2607などが該当品です。

もっと言えば次の世代のBroadcom HBA 9400-8i/16iなら最初からコネクタ後ろ出しな上PCIe3.1です。接続するのがSSDならそちらにしておくべきでしょうね。FreeBSD用のドライバもあります。
またL2ARCやジャーナルディスクとしてNVMe SSDを使う場合にも9400-16iならひとつの拡張スロットでHDDの接続台数を削らずにPCIe3.0 x4接続のU.2 SSDを2台追加できるのでとても心惹かれるものがあります。

逆に、更に前の世代8708ELPなどはどれだけ安くてもまったくお勧めできません。コントローラも旧世代のSAS1068ですし、SATA2(3Gps)までの対応でNCQの最適化も使えず性能に大きなギャップがあります。単に台数を接続できるという以上のカードではありません。ぶっちゃけ熱源になるだけです。
…いっぱい手元にありますが。今更値段もつきませんしねえ。

Windowsで組むのも、単純なCIFSサーバーとしてしか使わないのなら場合によっては記憶域プールとReFSでジャーナルディスクとしてその辺に余っているSSDを載せておけば管理も簡単で有力な選択肢になり得るかと。
その場合であればAdaptec(PMCSierra)のSASカードでも可。

・SSD750はZFSのキャッシュ(L2ARC)として使用します。本当は2次キャッシュを積む前にメインメモリを増やすのが基本なのですが、今メモリ高いですからね…。手持ちの機材でどうにかなるならそれで。
ちなみにjaistのファイルサーバーではSSD750/1.2TBをL2ARC用に使用して「Percentage Usedは105%で、書き込んだ容量は1.06PBでした。メーカー保障が127TBであることを考えると大健闘です。使い始めたのが去年の3月3日だったので、1年と6日の寿命でした。」とのこと。あの規模のファイルサーバーで1年もつって凄いことかと。jaistではその後2TBのP3520に交換されていますが、当方くらいの規模ならSSD750でも十分です。
引用元:

10GbEカードは既にPCIe3.0対応のX550シリーズが出回っていますが、どうせx8スロットが空いているのでX540-T2のストック品で。今回は手持ち使いまわしですが安いし。

ストレージ
価格容量比のこなれてきた8TB HDDを10台搭載します。

4*Seagate IronWolf ST8000VN0022
4*WesternDigital WD RED WD80EFZX
2*Seagate ST8000AS0002

機種がバラバラなのはTX1310で4台ずつ分けて使うつもりだったため。
(ST8000AS0002はそのへんに転がっていたため)。

IronWolfは7200回転256MBキャッシュ、WD REDは5400回転128MBキャッシュ。
ST8000AS0002はペットネームはないのかな。5900回転128MBキャッシュ。
SMRなので過剰に警戒している人がいましたが、まあ保管先として使う分にはこれはこれ。

これらを、IronWolfとWD REDはSAS9220-8iに接続して3.5インチベイに、ST8000AS0002はC236のSATAに接続しダンパーをつけて5.25インチベイに入れます。
そのため、ケーブルはSFF-8643 to SFF0-8087の物を2本、SFF-8643 to SATAファンアウトの物を1本用意。

3.5インチHDDトレイはPGダイレクトのYahoo!ショッピング支店で購入しました。

以前からお世話になっていますが、問い合わせへの回答も速く、良いお店です。

OSインストール領域
USBメモリを2本用意。今回は32GBの物を使いますが、16GBのものでも十分。

費用概算

上記構成で凡そ50万弱(2017年10月初旬時点)。2セット作っても100万円以下。
内訳は次の通り。

280,000 HDD 10台
80,000 TX1330M2 4台 (純正メモリ・電源・バックプレーン追いはぎ用含む)
70,000 拡張カード 3枚
40,000 HDDトレイ 8個
10,000 ケーブル類

以上で総容量80TB。1TBあたり\6,250ほどになります。まあ実用容量はもう少し減りますが安くなりましたねえ…。
個人用ファイルサーバーの場合HDDの機種選定は「たまたま家にあった」「宗教的理由」等でお好みの物をお使いになればよろしいかと。
ただし、複数台搭載の場合共振が問題になることがあるため、NAS対応を謳っている製品を選ぶべきです。

HDDは2年程度で交換していきますが、今回使っている機種は3年以上の保証期間があるので、多少酷使しても安心です(主に費用的な面で)。もっとも、修理に出している間はもちろん使えませんので、折を見てスペア用のHDDを追加購入しておく必要はあります。

このほかに別途UPSとLTOドライブを用意しますが、電源の総出力が450W程度なのであまり高価な機種は不要です。LTOのほうも安くなってる新古品のLTO5あたりで十分。

ところで仕事なら一式手組みじゃなくインテグレータに丸投げでしょ、とか、コンシューマレベルのHDDwwwとか言いたい人がいるのは存じております。
が、そもそもうちそんな規模じゃないんで…ホント個人事業に不精ひげが生えた程度なんで、出来ることは中でやらんと利益が残らないんですよね。

てか、この規模のファイルサーバーだとあっという間に見積もりが7桁コースじゃないですか。
自分が既に知ってる知識や持ってるスキルで出来ることをわざわざお金払うには圧倒的に時間コストが圧縮出来るだとかそれなりに理由が必要ですが、ことこの分野のものではわたしは自分でやっちゃったほうが速い、安い、取り回しが良い。
同じ金額出すなら同一仕様で数台組んでHDDの予備用意して障害に備えます。

精度必要な金属加工とか小屋レベルを超える規模の家建てるとかのレベルになると専業の人にお任せしたくなりますけどね。そういうのは恒常的にお仕事としてやってるわけじゃないですからね。