最近組んだPCその2・Jonsbo U4で組む①

最近組んだPCその1・Jonsbo U4で組む

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(photo from www.jonsbo.com)

前振り。

私のところで「メインPC」というと原稿書き用の静音構成にしたPCです。
24時間通電しっぱなしを前提に、構成要件はこんな感じ。
・低発熱のCPU
・メインメモリを上限まで搭載
・長寿命コンデンサ
・極力大きく、フィンピッチの広い空冷CPUクーラー(クーラー自体にはファンは取り付けない)
ファンレス電源ユニット
RADEON系列で下から2番目あたりのGPU
今まではintelのDZ77RE-75Kを発売直後から5年使用していました。
気に入ったのですぐ1枚買い足して予備に置いていましたが、結局一度も不安定になることなく更新を迎え、予備(と使っていた1台)のマザーボードが余りました。

主要構成はこんな感じでした。
CPU intel Xeon E3-1220L
RAM Patriot PC3-1600/32GB(8GB*4)
SSD intel SSD510/120GB*2(RAID1)
GPU Sapphire RADEON HD7750 LowProfile *2 ファンレス
PSU Enhance 400W 80Plus Gold ファンレス
クーラー Thermalright HR-120
筐体 Corsair Carbide300R
冷却は前面の日本電産Gentle Typhoon(PWM140mmファン)の2丁掛け、天板・背面の同120mmPWM(各2・1)。
ファンを全て排除、というわけではないのです。それは大幅に寿命を縮めます。このPCでは極力大型でフィンピッチの広いヒートシンクを載せ、大口径のファンを低回転で回していました。

HDDは時々直接つなぐこともありましたが基本はファイルサーバーが常時稼働しているのでそちらに。
結局5年間で2~30回程度は電源を切りましたが、そのほかはほぼ24時間365日に近いレベルで無故障で稼働してくれました。

このPCとまったく同じ部品がもう1セット準備してあったんですが、せっかくの実績あるパーツをそのまま捨てるのも忍びないのでそれら+αを用いて別構成のPCに仕立てます。

この当時はまだBD-ROMドライブなども載せていましたが、この5年で本当に使う機会が減りましたね。
大型のクーラーを載せたビデオカードもこの用途では必要ありません。
このあたりを考慮するとドライブベイの部分をバッサリ切り落した奥行きの浅いPCケースがあったら良いのに!でも大型のサイドフローCPUクーラーは使いたいからロープロじゃダメ!というちょっとメンドクサイ系購買者に。

で、今回の筐体はJonsbo U4。最近NTT-Xストアでちょいちょい安くなってますね。
吸気120mmファン3発・排気120mm1発と正圧よりの設計のアルミ+ガラス筐体です。
ストレージは3.5インチ1台・2.5インチ2台と少なめな分奥行きを大幅に縮めていて、条件的にはドンピシャ。
とはいえ、製品の仕上がりは設計の志の高さとは必ずしも合致しないこともあります。
果たして今回のU4はどうなんでしょうか。

今回の構成は
CPU intel Xeon E3-1230V2
M/B intel DZ77RE-75K
RAM Patriot PC3-1600/32GB(8GB*4)
SSD 東芝 THD512
HDD Seagate 2.5インチ1TB・15mm厚
GPU 玄人志向 RADEON RX480/8GB(PowerColor OEM)
PSU Enhance 400W 80Plus Gold ファンレス
クーラー Scythe APSALUS3
筐体 Jonsbo U4
といった感じ。
IvyBridge系CPUと5年前のチップセットのため、チップセット接続のSATA3が2ポート(※SATA2が別途4ポート)しかなかったり、NVMeを標準ではサポートしていなかったりとストレージ周りに仕様の古さを感じます。
が、ストレージは2台で構わない、NVMeはまあ見なかったことにする、などと多少割り切るとまあまあ現役で使える程度の性能ではあります。
CPUのTDPは69W。正直水冷クーラーまでは持ち出さなくても一般的なヒートパイクつき空冷クーラーで充分だとは思うのですが、今回は窒息筐体なので念のため。

Jonsbo U4、ぱっと見て良さげな点は
・強化ガラスの左サイドパネル。スモークがかけられていて内部に発光機構を仕込むのに良さそう。
・ギリギリに切り詰めた奥行き。
・アルミの一枚板で仕立てられた天板からフロントパネルの仕上げの良さ。
等々。
Jonsboは中国のメーカーですが、本当にここ数年中国のPC関連産業の成熟っぷりには目を見張るものがあります。

一方でざっくりとみてすぐ出てくる懸念は
・一見して窒息系の筐体のため、高発熱なパーツを使うのは少々無謀です。
・裏配線出来ません、というかそもそもマザーボードスタンドオフは筐体右パネルから直接生えてます。
このあたりはおそらくそういう設計思想なのでしょう。低価格にしようとしたら工程を減らすというのはやはり大きく響きます。長尺ビデオカードは寸法・発熱の両方の点で厳しそうですが、普通に使う分には「そんなの使わない」ことにすれば解決。でもある程度の性能は欲しい。
本当ならここはGeForceGTX1060あたりにするべきですが持ってません。
今回は筐体サイズギリギリに近いものを部品庫から探した結果、PowerColor(OEM)のRADEON RX480/8GBを載せてみます。


とりあえずさくさくっと仮組。
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この当時のintelのゲーミングマザーボードは黒と青のツートンをイメージカラーにしていました。
intelマザーボード向けのXMPメモリなども青と黒のヒートシンクで飾っているものがいくつかあり、今回使ったPatriot製品などもそうです。

本機はそれに倣い黒・銀・青の3色に挿し色(笑)でGigabyte i-RAM上に緑基板のDDRSDRAMを。
ちなみにこの構成でWindows10x64(1709)ではi-RAMは初期化を完了できませんので撮影後速やかに撤去されました。動作して青基板のDDRSDRAMが手元にあったらそのままにしたかったんですが。
このほかにATRASの下のスロットにPCI接続のAgere WinModemを搭載。

前面の吸気ファンは2台分のU4からまとめた120mmDCファンを2発、水冷クーラーの冷却と排気は発売になったばかりのREEVEN KIRANを入れてみました。
最近のLEDつきファンの流行はPWM制御+マザーボード側からのフルコントロールRGB発光なんですが、KIRANはファンから生えたトグルスイッチで7色の中から選択するタイプ。PWMには対応しています。
今回のDZ77RE-75KはどのみちLED制御機能を持ちませんのでこれで充分です。というかわたしのところでよく使っているRosewillのと同じOEM元だな、コレ。

DZ77RE-75KはVRMヒートシンクに銘板が取り付けられていて、APSALUSにKIRANを装着するとちょうどその発光でその部分がライトアップされます。7色から設定できるんですが今回は青に。
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CPU上のVRMの向こうは状態インジケータLED。動作状態に応じてほんのり点滅する緑の光が青いヒートシンク越しに光るのがなかなか良い感じ。あまり煌々と明るくしても風情がないですが、フロント側もPWMファンに交換するついでにKIRANにするか思案中。
あ、でもATRASのトラス構造がまったく見えなくなるのはしょんぼりなので拡張スロット周りに多少ライトアップを増やすかも。

肝心の冷却能力ですが、やはりそのままでは少々厳しめです。
外気の取り入れは右側面と底面の二箇所。
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(Photo from www.itc-web.jp)

右側面はスリット状の吸気が右サイドパネルとツライチのため、PCをガラス面を手前に向けて右側面を壁に寄せて設置、なんてことをするとまったく吸気できなくなります。

底面側の吸気能力をあてにする場合は電源ユニットはプラグイン式の物を選ぶべきです。
今回のEnhance製のものは世代が古いこともあり、すべてケーブル直付けでケーブルもだいぶ固いため、底部吸気を大きく損ないます。
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ごっちゃり。これでもある程度まとめてるんですが。
保証期間が過ぎていることもあり、切り詰めてしまうか、別のPSUに交換予定です。

とりあえず見栄えが良くないのでメッシュパネルで目隠し。
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この画像でも下部に写っているアルミのカバー(兼3.5インチHDDマウンタ)のおかげでサイドのガラスパネルを閉じてしまうとうまい具合に隠れてほぼ見えないんですけどね。

今回のビデオカードは背面プレートで補強されているのでビデオカード自体の歪みの心配はあまりしなくても平気ですが、マザーボードの設計が古いためPCIeスロットの補強などは施されていません。
今回はATRASカードブレイスを使ってドレスアップがてら補強しておきます。

まず、右サイドパネルが外れないため、クリップ式以外のCPUクーラーを使いたい場合は受け側を予めマザーボードに取り付けるタイプのクーラーを選ぶべきです。両面テープでバックプレートをマザーボードに貼り付けろ、などとぬかす(今回のAPSALUS3のような)クーラーは避けるのが無難です。運が悪いとバックプレートが何度もはがれマザーボードごと何度も取り外す羽目になります。NoctuaやThermalrightのようなマウント部とクーラー本体が分離できるものが良いと強く思います。
もっとも簡易水冷クーラーはU4との組み合わせにおいて冷却性能の観点からは強くお勧めできます。

今回のように簡易水冷で組む場合には筐体内の空気をかき回す要因が減るため問題になりませんが、そもそも吸気が弱い上に筐体付属の120mmファンはあまり精度が良くないため、もう少し静圧重視の製品に交換したほうがよさそうです(CPU付属のクーラーなどを使う場合など)。

なお、今回のAPSALUSのようにAsetek製のOEM品を使う場合はリアパネルとラジエータを直接ネジ止めしてしまうと蝕を起こす危険性があります。シリコンパッドやワッシャなどを挟み込んで多少でも浮かせておいたほうがよさそうです。当初ファンでサンドイッチにしていましたが、DZ77RE-75Kの場合VRMヒートシンクをファンが覆ってしまうため現在の構成に。

今回の構成で動作テスト中Civilization 6を4K解像度(2160p)でプレイ時に240Wほどの消費電力でしたが、排気はそこそこの温度の風が出ていました。

十分排熱出来ている、といえばそうなのですが、せっかくのアルミ筐体です。冷却に活用しない手はありません。
ワイドワークから発売されている12mm厚の放熱ゴムHDR-M7-80(通称はんぺん)マザーボードの背面(VRM部、チップセット部の裏)に配置してダイレクトに筐体右パネルへ熱を逃がします。
このはんぺん、本当にはんぺんのように柔軟性が高く、5mm以上つぶしても問題なく機能します。適当なサイズに切って挟み込むだけで結構な熱伝導率(2.4W/m・K)を誇ります。
こういう細工をしようとしたときには外装とマザーボードの間にもう一枚鉄板がない、というのが効きます。
なんならCPUとPCIeスロット裏、M.2SSDを載せられるマザーボードを使うのであればその裏あたりにも適当なサイズで挟み込むと結構な温度低下が見込めます。CPU裏は沖電線のクールスタッフのループタイプでもよし。

総評

傾向・窒息。ただし大面積のアルミパネルを備えるため、適切な追加工により必要十分な程度の放熱効果が得られる。

加工精度・良好。切断面などは綺麗に仕上げられ、撫でても皮膚を切るようなことはまずない。
ただし付属の拡張スロットカバーは安物のため傷が入るとすぐ錆びるので早急に交換または撤去

強度・単純な折り曲げ構造のため、間違っても踏み代替わりにはなりませんが、十分な板厚を持ち、中に入るパーツが少ない分ビビリなどのネガティブな事象は起きません。

作業性・可。ネジ山などは適切に加工されており、作業性を損なわない。ただし筐体設計の時点で右サイドパネルが取り外し不可のため、CPUクーラーの取り付けに於いてクリップ式以外のクーラー使用時には作業手順をよく吟味する必要あり。ネジ式のものの場合バックプレートや受け側をあらかじめマザーボードに取り付けてから筐体に収めないと何度もマザーボードを取り出す羽目になります

本稿のものとは別にASUS H170 PROGAMINGを組み込んだものも半年ほど使っていますが、そちらはPentium G4600をファンレスCPUクーラー(筐体側吸排気クーラーはあり)で今年の夏を越しています。

使い道に合致すればフラットなデザインはどこにでも馴染むでしょう。
適切な冷却追加工を施せば十分使い物になるケースです。

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