FS-A1GT メイン基板の清掃

Panasonic FS-A1GT。
TurboRの最終機、というかMSX全体としても最終モデルです。
一つ前のA1STではじめて登場したMSXTurboRは、それまで採用していた8bitのZilog社Z80系に代わり、アスキーが独自の拡張を施したR800を採用して16bit化と同時に大幅(※)に高速化されました。
(※・といっても総合的には3.58MHz動作時のZ80と比べてだいたい4倍速。途中HD64180を採用したVictor HC-95など独自の高速化を施した製品はいくつかありましたが規格としてCPUが高速なものになったのはTurboRのみ。それまでは最初のMSXからずっと3.58MHzのZ80でした)
 
 
続くこのA1GTでは標準搭載のメモリが512KBになってGUI環境MSX-View標準搭載、MIDI・PCM搭載とそれなりに近代化して、計算速度もPC-9801ともそこそこ戦えるレベルになったものの、MSXが再び勢いを取り戻すことはありませんでした。
 
せめてMSX2+が出るときに少しでも高速なCPUを採用していれば少しは違った気もするんですが。
Z80系のままでも、よりはやい時点でPC-88は8MHz化していたわけですしね。
 
ま、その割に総計400万台以上出荷されたのは立派と言えるとは思います。
最終的にどのくらいまでいったのかは手元に資料がないのですが、A1GTが1995年に出荷終了となった後もユーザー独自拡張とはいえSCSIカートリッジが登場してCD-ROMが扱えるようになったり、海外ではZ380を使った高速CPUカートリッジやらMSXで使われていたV9938/9958の系譜のV9990を載せた高速高解像度ビデオカートリッジやらが好事家によって開発されています。
最近ではFDDやHDDの代わりにSDカードが使えてみたり。
つーか最近て。登場からもう30年経ってるんですけどね、MSX
 
なんだかんだとユーザーに愛された規格だったといえるのではないでしょうか。
ちなみに8bitのMSX1の市販最終モデルは日立のMB-H50のようです。
 
 
 
さて、先日のものはきちんと箱入り、説明書やケーブルその他はビニールに入ったまま、というごくごく美品だったんですが、こちらは何か改造する気だったのかバラバラに分解された状態で放置されていたらしいもの。
一応必要な部材は一通り揃っていたんですが、キーボードも変色しフロッピーはベルトが融け、金具は錆び電池は液漏れしてLED基板は折れ…と散々な状態。
 
当然?メイン基板の埃の積もり方も相当なもの。
とりあえずブロワーと掃除機とで取れる埃を取っても、部品の足の隙間や林立するコンデンサ群の間にもびっしり入り込んだ埃は残っています。
 
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電源部なんて下手したら火噴くんじゃないですかね、コレ。
や、この写真の時点で予め掃除機で吸った後なんですが。
 
こうなると
・ブラシで掻き出す
・トリモチで吸いつけて取る
といった方法を取らざるを得ません。
ブラシは運が悪いと塵をさらに奥に追いやりかねないのですが、こういうとき便利なのがサイバークリーンというゲル。
隙間に入り込んで微細な埃を抱き込んで除去してくれる一種のスライムです。
使い始めたのは最近なので長期的にどうかは不明ですが、一応基板を冒さないことになってます。
 
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これをこうして基板にぐぐっと押し付けて…。
背の高い部品や細かい部品があるところは一度に広範囲をやろうとせず、少しずつ隙間に押し入れていきます。
隙間に入った分は引き抜くときにたまに千切れますが、ほとんどの場合は再度本体?を侵入させることで切れ端を回収して戻ってきます。 
 
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べりべりっとはがすとあらスッキリ。
スライムのほうに注目。
かなり柔軟性があるので端子の隙間やピンの間の形に合わせて変形しながら入り込んで埃を捕まえます。
 
同様に電源部も。
 
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はースッキリ。埃を取ってみたらコンデンサが吹いているのを発見。
手持ちがないので本格的な交換は部品が届いてから。
一応その辺にあったものに換えてトランスつないで起動することは確認。
 
 
…実際使うと割と良い機械なんですけどね、TurboR。